妄言録
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Author:乃木口正
『妄人社』というサークルで、
小説を書いている乃木口正のブログ。

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比類のない神々しいような瞬間
エラリー・クイーンの『Xの悲劇 (創元推理文庫)』(発表当時はバーナビー・ロス名義)で次のような台詞がある。

「彼は、死ぬ直前のほんのわずかな時間に、自分の残すことのできる唯一の手がかりを残したのです。このように――死の直前の比類のない神々しいような瞬間、人間の頭の飛躍には限界がなくなるのです」

ダイイング・メッセージについて説明した言葉だ。

念のため説明すると、推理小説の中には度々死者が奇妙なメッセージを遺していることがある。これがダイイング・メッセージ(死際の伝言)である。
物語を駆動させる為に、このメッセージは容易に解明できないものが多い。先に記した台詞は、何故容易に読み解けないメッセージを残すのかについての説明にもなっている。
死の直前、人は常時よりも飛躍的に思考力が増し、爆発的な発想力を持ってメッセージを残す。だから、生きている人間には容易にその言葉は理解できない。

推理小説におけるダイイング・メッセージとはこのようなものだ。

しかし、死際以外にも、人間は比類のない神々しいような瞬間を迎えることがある。
頭に血が上っている時だ。

先日、ケンカをした。
その際に、普段思ってもいない言葉が口を衝いて出た。
それはなんとも気が利いていて、効果的で、残酷な言葉だった。
普段小説を書いている時も思い付かないフレーズに、比類のない神々しいような瞬間が訪れたことを理解する。

恐らく、頭に血が上り、忘我していた自分は死際の意識が途切れ途切れとなっている人間と同じだったのだろう。
あの時、自分は死んだのかもしれない。

後悔が漣のように押し寄せ、喉元まで水嵩を増している。
謝りたい。

でも、言ってしまった言葉を取り消す術はない。
涙と溜息だけが、零れ落ちる。
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[2013/08/04 10:03] | # [ 編集 ]


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